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ロンドンナショナルギャラリー展


上野で開催されているロンドンナショナルギャラリー展に行きました。

人数制限の為、時間予約制のチケットをネットで購入する必要があります。時間指定券のない人は、並んで待ち、指定券を持っている来場者の人数により、入場できるシステムでした。入場指定の時間に行けなかった場合は、時間の再指定はできないので、並ぶか、時間指定券を200円で再度購入すれば、入場券として使用可能です。

 

展示内容は、イタリアルネサンス、オランダ絵画、イギリス肖像画、グランドツアーのイタリア絵画、スペイン絵画、ピクチャレスク絵画、フランス印象派の代表的な画家の作品をほぼ一点ずつ網羅しており、イギリス帝国文化の厚みを感じさせる展示になっています。

 

まず展示室に入って驚くのは、ルナサンス絵画の色彩の鮮やかさです。全ての絵が、保存状態が良いのか、修復されているのか、ここ数年の間に描かれたかと思うほどです。クリヴェッリという画家の受胎告知が、ルネサンス建築と、マリア、空からの光線が巧みに配置されており、風俗画としても楽しめます。ウッチェロの竜は、ゲームのイラストでも使えそうです。ボッティチェリのテンペラ/板もあり、最晩年の作品の様です。春やビーナスの誕生の動きのある構図とは別世界の小さくまとまった図柄の作品です。他にもギルランダイオ、ティントレット等著名画家の作品が並びます。

 

オランダ絵画は、レンブラントの自画像も良いですが、何といってもフェルメールでしょうか。これも晩年の作品の様で、背景のち密さには欠けますが、色彩が美しい作品です。

 

グランドツアー収集作品では、カナレットが目を引きます。明るい空の下、大運河の整然とした建物群の焦点に本当は見えないリアルト橋を配置。観光土産画家としては、最高の人気だった事が納得できます。初めて知りましたが、その人気で、イギリスに渡って風景画を描いています。卒業生の購入を見込んだカレッジ風景等、絵画技術と共に、職業人として徹しているところが素晴らしいですね。

 

スペイン画もエルグレコ、ベラスケス、スルバラン等、優れた作品が並びますが、ゴヤのウェリントン公の肖像画が特に目を引きます。ワーテルローの戦いナポレオンに勝利した英国将軍の勲章で飾られた半身像です。肖像画はあまり興味を持てないのですが、何を考えているんだろうと考えさせる、表情の奥深い表現が見事です。

 

ピクチャレスクではプッサン、ロラン、ロイスダール等の中で、ターナーの作品が大作です。背後に、太陽を引く、アポロンの馬車も描かれている様なのですが、私には最後まで、よく判りませんでした。

 

近代美術でも印象派の名品が並びますが、目玉は「ひまわり」の様です。今回の展示では全てのひまわりの写真も並べられており、同じ構図の作品が何点も、ある事を知りました。私的には、ゴーガンの花瓶の花、セザンヌ、コローの風景画も印象深いものでした。

 

コロナの中ですが、西洋絵画の各時代・各地の代表作家の名品を一度に見られる質の良い展覧会で、一見の価値ありです。