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ホッパー コロナの風景

順にEarly Sunday Morning(1930), Railroad Sunset(1929),  Cape Cod Sunset(1934) ホイットニー美術館展示品  

コロナのニュースで、ロックダウンした様々な都市の風景が映し出された。どこかで見た様なひっかかりが心によぎってはいたが、何かの拍子に、ふとホッパーの絵を思い出した。ニューヨークのホイットニー美術館で見た「Early Sunday Morning」だ。労働者階級の住む街の商店の早朝を描いたもので、時間帯としては人がいなくても不思議はない。ただ、ホッパーの絵は、画面に人の気配を感じさせない。廃墟ではなく、人がいるはずの風景。実際、隣に掲示した「Cape Cod Sunset」にお父さん、子供2人も描きこめば、典型的なアメリカ家庭の情景で、英会話教材の挿絵になりそうである。

ホッパーがこれらの絵を描いた時代は、まさに世界恐慌の時代で、先の見えない不安な雰囲気を見事に切り取っている。個人、公共を含めて、これまで築いてきた箱物が、今後の財産にはならない不気味な風景が、現実にならない事を願うばかりである。ちなみに、「早朝の日曜日」のモデルになった建物は現在も残っており、交通量の多い通りに面しているらしい。

これらの三点は、全てホイットニー美術館に展示されている作品で、真ん中の「Railway Sunset」が個人的には、強く印象に残った作品。他にも見ごたえのある作品があるので、NY観光で、チェルシーマーケット、ハイライン方面に行くのなら、ぜひ訪れる事をお薦めします。